『紙つなげ!彼らが本の紙を造っている』 再生・日本製紙石巻工場 佐々 涼子 著
東日本大震災で被災した日本製紙・石巻工場
機能は全停止し、誰しも、そして従業員でさえ復旧は無理だと考えたいたが
社長は半年での復旧を宣言!。
工場を襲った津波の被害は想像を絶するもの!
その日から従業員の戦いは始まり、その人達からの徹底取材で書き記したノンフィクションです
日ごろ手に取っている本の紙がどこで作られているか?
本好きでたくさんの本を読んできましたが、一度もその本を創るための紙について思いを致すことは今までありませんでした。
紙にはいろんな種類あり、例えば文庫本、昔は酸性紙だったのが、今は中性紙に変わり退色がしづらくなっています。コロコロコミックの紙は、小さくて柔らかい子供達の手でページをめくっても、決して手が切れたりしないように工夫され高度な技術が使われています。
(石巻工場が作っているのは主に本の紙。コミック・文庫・単行本などの紙です)
この本のタイトル通り紙をつなぐことにまさに命がけで向き合ってきた人たちの努力、工場の復興、に感動と感謝を感じました。
そして報道や震災映像では泥棒もいないようなことを言っていたが、本当はあさましい人間の本性や思わず目を伏せたくなる非情な行為、略奪、強盗、人間の嫌な部分も記述されています。
記憶に残る一説
『みんな聞いてくれ。毎日瓦礫処理は大変だろうと思う。疲れてもくるだろう。でも、これだけは約束してほしい。決して課員の悪口を言うな。被災している人もたくさんいる。家族が亡くなっている者も、家が流された者もいる。それぞれ人によって事情があるんだから、誰かが出てこられなくても文句を言うなよ。それから、よその課はまだ工期に余裕がある。彼らの悪口も言うな。出てこられない人の分までカバーして、みんなでもう一度ダービンを回そう。あの煙突にもう一度、白い蒸気を上げよう』
『山から帰ってきた人の中には、遺体を踏みながら帰った人もいるんですよ、泣いて「すまない、すまない」と謝りながら歩いたそうです。そんな地獄は表には出ないし、新聞にも出ないけど、みんなつらい思いをしてるんです』
『やっぱり、本はめくらなくちゃね。』 ☚ その通り!
途中、何度も涙が止まらなくなる事もありました、
紙の本を読める有り難さをつくづく、そして心から感じ感謝です。
ほんと素晴らしい本です、
今や電子書籍の時代、ですが是非この本を手に取って読んで欲しいです。
Dont’ walk behind me:I may not lead.
Dont’ walk in front of me:I may not follow.
Just walk besaid me and be my friend .
私の後ろを歩かないでください。私は導くことはできないかもしれない。
私の前を歩かないでください。私はついていかないかもしれない。
ただ傍らを歩き、友だちでいてください。
落合恵子さんの『忘れない、という約束』のコラムの一節です
私にはなにもできないが、被災者の心に寄り添って、ことあるごとに風化させないよう伝えていくことが大事だと思います。